「元帳」といえば何のこと?
わかちです!
以前の記事に引き続き、学習簿記と経理実務との違いについて紹介していきます!
さて、高校商業科で学ぶ簿記では、手書きで「仕訳帳」という帳簿に仕訳をし、その後「総勘定元帳」という帳簿に転記をすると学びます。
しかし、当然ながらこのように記帳をしている企業は今ではほとんどありません。
多くの企業では、会計ソフト内の伝票に仕訳を入力することで、仕訳帳の代わりとしています。
総勘定元帳への転記も自動でしてくれますし、試算表などもすぐに出してくれるので非常に便利です。
ところで、学習簿記では「元帳」といえば決まって「総勘定元帳」のこと*1ですが、実務では他にも「元帳」が存在するのを知っていますか?
私の勤めていた経理で使用していた会計ソフトでは、「総勘定元帳」の他にも「支払元帳」や「検索元帳」が存在していました。
会計ソフトでは、取引を検索するための検索機能がついています。
この機能を使って、過去に入力した伝票を呼び出し、どのような仕訳が行われていたかを確認するのです。
その際、
「勘定科目」と「日付」の組み合わせから検索する機能や検索結果のことを「総勘定元帳」、
「支払先」などから検索する機能や検索結果のことを「支払元帳」、
「摘要」*2などから検索する機能や検索結果のことを「検索元帳」と呼んでいました。
「元帳」という言葉が、帳簿そのものを指す以外にも、検索機能のことを指していること、
そして、総勘定元帳以外にも「元帳」と呼ぶべき帳簿があることに驚いた記憶があります。
入職した当初、「この請求書に記載されている内容から、元帳で伝票を検索してね」と上司に言われた際、
「元帳=総勘定元帳だから、そこから探せばいいんだな!」と思って検索したものの、全く見つからず…
上司から、「検索元帳使ったほうが早いよ」と言われたのを思い出します…。
総勘定元帳で取引を検索するためには、検索するためのキーである勘定科目が正しいことが大前提なので、誤った勘定科目で検索してもヒットしないのです。
同様に、支払先が登録していない業者であれば支払元帳は使えませんし、摘要に誤字や表記ゆれがあれば検索元帳で検索してもヒットしません。
経理実務では、学習簿記で考える必要のなかった「どの元帳を使ってどの情報で検索すれば効率がいいか?」ということを常に考えながら業務を行う必要がありました。
余談になりますが、検索できる切り口が多いということは、それだけ伝票に入力している情報が多いということです。
学習簿記では、仕訳をするのに必要な情報は「勘定科目」と「金額」だけですが、経理実務では、一つの仕訳を切るためにそれ以外にも様々な情報が必要になります。
学習簿記に慣れていた私はこれに大変苦労しました…。
経理実務での仕訳の難しさについて、詳しくはまた次回以降の記事で取り上げることにします! お楽しみに!