わかち先生の 行こうぜ!商業

高校商業教員のわかちが、教育観などを徒然なるままに書いていきます。

部長の次に偉い人は?

わかちです!

私は大学卒業後2年間、学校法人の経理部職員として働き、その後転職して高校商業科の教員をしています。

「学校の常識は世間の非常識」という言葉もありますが、実際に一般的な組織(法人)と学校現場との間にはどのような違いがあるのでしょうか?

ここでは、私の経験をもとに、その違いについて例を挙げて紹介していきたいと思います。

 

さて、いきなりですが問題です。

一般的な企業において、部長の次に偉い職階はなんでしょう?

 

答えは、「会社によって違う」です。

当たり前の話ではありますが、会社によって用意されている職階は違います。

 

…と書くと、「えぇーそれは答えになってないよー」と言われてしまうので、一例として、前職での職階がどうなっていたか紹介したいと思います。

 

私が勤めていたのは学校法人ですが、いわゆる「一条校*1」を運営する法人ではなかったため、一般企業的な感覚も持ち合わせていた組織でした。

さて、多くの学校法人において、一番偉い人の職階名は「理事長」です。一般企業では「代表取締役(社長)」に相当します。

私が勤めていた法人でも例に漏れず、トップの職階名は「理事長」でした。

理事長の次は「理事」や「評議員がきます。一般企業では「取締役」や「執行役員」に近いでしょうか。

そして、実務レベルで一番上の職階は「部長」です。

では、今回のテーマにもなっている、部長の次に偉い職階は何と呼ばれていたのでしょう?

 

 

私の勤めていた法人では、部長の次は「部長代理」という職階名でした。

入職前の私は、「部長の次は課長なのかな?」と思っていたのですが、それは「島耕作」の影響があるからでしょうか?(読んだことはないですけど)

 

そして、「部長代理」の次は「次長」です。

「次長」の次にようやく「課長」がきます。

以下、「課長代理」「課長補佐」「主任」と続きます。

 

分かりにくかったかもしれないので、もう一度分かりやすく整理すると、

 

理事長

理事・評議員

---------↑経営者↑----------

部長

部長代理

次長

課長

課長代理

課長補佐

---------↑役職者↑----------

主任

一般職員・契約職員・嘱託職員

 

という序列の組織でした。

これ、結構細かく分かれていると感じませんか?

私の推測ですが、おそらく、職階を細分化することによって、定期的(前職だと4~5年に1度)に昇進をさせて、職員のモチベーションの向上を図っていたのだと思います。

 

ところが、学校現場はこれとは全く違く異なる序列の組織でした。

教員の職階は、大きく分けると、「校長」「教頭」「教諭」「講師(実習助手含む)」しかありません。(2020年現在、愛媛県の高等学校では、「副校長」「主幹教諭」が配置されてないので省略)

 

念のため、先ほど度同じように縦に並べてみると、

 

校長

教頭

---------↑管理職↑----------

教諭

講師

 

となります。

先ほどと比べると良くも悪くも、非常にシンプルな設計です。

 

私は学校現場に入って、前職との違いに驚くことはたくさんありましたが、

意外にこの職階・組織の序列の違いにも大きな衝撃を受けました。

何をもって「上司」とするかは難しい(主任・主事などが業務における事実上の「上司」にあたるという考え方もあるため)ところですが、私よりも30歳以上も年上の先生(教諭)も、職階上は「上司」ではないのです。悪い意味ではないですが、違和感を覚えた記憶があります。(大学卒業後すぐに教員になった先生方はそれが当たり前だと感じるかもしれませんが…)

 

一般企業は、「ピラミッド型組織」と呼ばれることがあります。

職階が細分化され、上に行くほど人数が少なくなっていく仕組みです。

特に、数十年以上続いている伝統のある企業や、大企業ほどこの傾向が強くなると思います。

 

一方、学校現場は、「なべぶた型組織」と呼ばれています。

数人の管理職(校長・教頭)の下に、大勢の教諭がいる、という体制です。

このような形の組織は、一般企業にはあまり見られない特徴だと思います。

 

一般企業的なピラミッド組織がいいのか、それとも、学校的ななべぶた型組織が良いのか。

教員経験を含め、社会人経験の浅い現時点での私では、どちらが良いのかの優劣をつけることはできません。これから教員生活を積み重ねると、「今のほうが良いな」とか、「前職のほうがやりやすかったな」という判断ができるようになるでしょうか。

ただ、細かく序列が分かれた組織では、「指示を出した人・意見を言った人が一つでも上の職階であれば、従わなくてはならない」といった雰囲気がありました。10歳以上年上の先輩はほぼ全員上司にあたるので、実質、「先輩の言うことは絶対」状態です。

そういった意味では、先輩・後輩はあるものの、明確に職階の差をつけない教員組織のほうが、(相対的な)若手が意見を言いやすいというのはあるかもしれません(その学校の雰囲気にもよるでしょうが)。

 

一方で、東京都などでは、主幹教諭を配置したり、副校長制度を設けたり、「管理職候補者」を募って研修を行ったりしているとのことなので、学校現場にも一般企業的な、中間管理職を設けて上と下の情報の伝達をスムーズに行うという視点も求められているのかな、という気はします。(というより、今は主幹教諭等を配置している都道府県・学校のほうが多数派なんでしょうかね?そのほうがやはり学校運営上好都合なんでしょうか…。)

 

どちらにせよ、「ピラミッド型組織」も「なべぶた型組織」も一長一短だと思いますので、今後教員生活を積んで、両方の良いところを活かせる組織の形を模索していきたいと考えています。

 

学校と一般企業の違いについて、また次回以降の記事でも別の例を用いて紹介していきます!

*1:学校教育法第1条に規定されている学校。幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学(短期大学および大学院を含む)および高等専門学校が該当します。